ガレージ用のアイアンドア(鉄ドア)を製作させていただきました
新築して間もない戸建て住宅のガレージのドア(玄関ドアも兼ねています)を作り直したいというご相談をいただきました。
既存のドアは、ウッドの無垢材で製作されたものでしたが、お客さまはいくつかの不満を抱えておられて、いろいろな経緯を経てGANZにご相談いただきました。
以前、ガレージ内にカウンターやメッシュドアなどを製作させていただいていたので、好みもだいたい把握できていましたし、とにかくこまめにメンテナンスしてくださるお客さまなので、末永く雰囲気を楽しんでいただけるドアとしていろいろとご提案させていただきました。
デザイン・設計から仮合わせまで
以前ご紹介させていただいた「ウッドアンドスチールのアイアンドア(鉄ドア)の仮合わせ」のとおり
GANZのご提案をもとに、数回の細かい打合せを経てデザインや仕様(構造)を決定し製作に着手しました。
既存ドアは各部のクリアランスが甘く、開閉時の操作性に問題があったり、雨水の浸入、隙間風等の問題があったようですので、操作性がしっかり確保できる範囲内で各部のクリアランスを詰めつつ、メンテナンス性や耐久性についても十分考慮してデザインと設計を行いました。
このため、製作段階で一度現場に持込み、仮合わせをして各部をしっかりチェックしました。
キーシリンダー(ロック)は既存のものを使用するため、図面上でしっかり位置を確認しながら、フレーム側を丁寧に加工しています。
鉄フレームに四角穴を精度良く加工するのにちょっと時間がかかってしまいましたが、キッチリおさめることができました。
ここまでの詳細は上記の記事をご参考ください。
既存枠とレールに合わせた設計
ドア枠と下部のレール部分は既存のものを使用しますので、それらとの相性も無視できない要素になってきます。
まずは上部の鴨居(かもい)の溝に刺さる部分ですが、ここは鴨居側の負担の軽減(摩耗対策)と、クリアランス調整の精度や作業性、メンテナンス性を考慮して「ハードウッドとのハイブリット構造」にしています。
鉄製フレームに細工をして、高強度を確保できる構造にしたうえでハードウッドを組み合わせています。
実際にドアが付いてしまうとほとんど見えない部分ですが、「縁の下の力持ち」的な重要な部分です。
下部のレール側は、ドアの総重量、脱着のこと、重量バランス、既存レールの施工状況と強度、から戸車の種類や取付位置を設計しています。
ウェスタンレッドシダーとフレンチへリンボーン
ウッドパネル部分は、耐久性、重量、色味や雰囲気などから検討した結果、「ウエスタンレッドシダー」を採用しました。
天然木(無垢材)ならではの、色味の違いや、木目、節などの個性を生かしつつ、フレンチヘンリンボーンで組みました。
見る角度によっても、色味や濃淡が違って見えます。
木目や素地の色味を生かしつつ、マットブラックの鉄フレームにベストなカラーになるよう追加で少しだけ着色しています。
最後にオイルやワックスを使用して何工程も処理することで、耐久性とメンテナンス製を確保しています。
※ 鉄製のフレーム部分は、屋外での耐候性を考慮して2液性のウレタン塗料を用いて、マットブラック(半艶)で塗装しています。
光の反射からも、独特の光沢感を感じていただけるかと思います。
フレンチヘンリンボーンのセンターの合わせ目部分は、構造上 強度が不安な部分のため、ここにもしっかり対策を施しています。
経年変化によて発生する隙間や反りなどを最小限に抑えるために、とても重要な対策だと思います。
木目や節がいい雰囲気を演出してくれています。
黒皮鉄のアイアンドアハンドル
マットブラックのフレームと、フレンチヘリンボーンのウッドパネルに合わせて、黒皮鉄のドアハンドルを製作しました。
ドアハンドルの詳細につきましては、以前ご紹介いたしました「ガレージのアイアンドアハンドル」の記事も合わせてご覧ください。
削り出しで製作した装飾がいいアクセントになっています。
ウッドパネル側にせり出したレイアウトは、使い勝手が良いだけで無く、黒皮の何とも言えない素材感が、マットブラックのフレームと、木目が生きたウッドパネルの個性と相まって、全体のイメージ構成に大きな役割を担っています。
室内側はシンプルにまとめました
ウッドアンドスチールの個性的な世界観の屋外側とは少し雰囲気を変えて、室内側はシンプルかつ落ち着いた雰囲気に仕上げました。
独特な色味に着色したウッドパネルと、装飾も兼ねた黒皮鉄の機能パーツを組み合わせたシンプルな構造です。
余分なものを追加せず、必要最低限の機能を最低限のパーツ構成でカバーすることで、無駄が無く飽きのこない仕上がりになると思います。
黒皮鉄のインナードアハンドル
シンプルなデザインのインナードアハンドルを製作いたしました。
奥様やお子様の力でもストレス無く開閉ができる様に、力が入れやすい構造であると同時に存在感が強すぎない、控えめなデザインを追求しました。
GANZ の刻印もさりげなくお邪魔しています。
インナードアハンドルは後日あらためて詳細をアップさせていただきます。
アジャスタブル・ドアストッパー
既存のドアは、全開時に鴨居(上部)をストッパーとした構造でしたが、今回は勢いよく開けてしまった場合でも鴨居へのダメージを減らしつつ、できるだけ静かに全開にできるように、調整式のドアストッパーをご用意しました。
クッション材を併用してショックを吸収する構造です。
下側のドア枠に接触することでストップします。鴨居側と2箇所で衝撃を分散して吸収することで、鴨居やドア本体への負担を軽減しています。
ドアストッパーの調整は、鴨居側よりもほんの少し早く効く位置に調整して、ドアストッパーと鴨居のチカラ配分を6:4~7:3位になるイメージでセットしています。
チョッパーとの相性も抜群なドアに仕上がりました
Mさまの愛車のスポーツスターのチョッパーが自然に馴染む素敵な空間に仕上がったと思います。
これから20年、30年とメンテナンスをしながら経年変化を楽しみつつ、お客様独自の色を付加していく課程を僕自身も楽しませていただこうと思います。
ウッドアンドスチールの更なる可能性を感じた、とても刺激的なご相談でした。
Mさま、いつも素敵なご相談ありがとうございます。
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