
GANZのプロダクトである「Face Mirror」を実際に使用していくなかで生まれた「小さな気付き」と、そこから派生した課題に対して、じっくりと時間を掛けて探求してみました。
今回は、素材選定から加工・仕上げに至る試行錯誤のプロセスと、新たな標準仕様の誕生についてご紹介します。


経験から気付いた新たな課題と克服の道のり
これまで制作してきた Face Mirror では、鏡と黒皮鉄フレームの目地(境界)を一般的なコーキング材で処理していました。
機能的には何ら問題がなく、施工面も美しく仕上がり、納品したクライアント様にもご満足いただいている仕様です。しかし、自身で日々そのミラーを使い込む中で、僕の中にどこか小さな違和感が残っていました。時間をかけてその感覚を掘り下げていくと、プロダクトに対するいくつかの懸念点が浮かび上がってきたのです。
ひとつ目は、素材が辿る「時間のズレ」です。時とともに味わいを深めていくガラスや黒皮鉄の経年変化に対して、樹脂であるコーキング材の変化のリズムが本当に噛み合っているのか。
ふたつ目は、質感の調和です。コーキング樹脂特有の表面の光沢感や表情が、重厚な黒皮鉄やクリアなガラスと真に引き立て合えているだろうかという点。
そして三つ目は、GANZがデザインの背景として据えている1960~1970年代のプロダクトという観点です。当時のクラフトマンシップに照らし合わせたとき、もっと自然で本質的なアプローチがあるのではないかという問いでした。
クライアント様から見れば微細な点かもしれません。それでも、僕自身の「ものづくり」として納得のいく答えを出すべく、課題の克服に動き出しました。
着目したのは、木製の「極小モールディング」によるアプローチです。
しかし、いざ着手してみると難関の連続でした。モールディング自体が極小サイズであるため、無垢材では加工精度が安定せず、どうしても個体差が生じて成功率が上がりません。そこで素材を「MDF材」へと切り替え、自作のガイドやジグを駆使して加工を行うことで、ミリ単位の加工精度と十分な強度という機能的課題をクリアしました。

自作モールディングが生み出すミラーと黒皮鉄フレームの融合
加工精度の問題をクリアした後に残された課題は、質感の馴染みとビジュアルの調和でした。
まずは着色方法を工夫し、ガラスと黒皮鉄とのバランスを探っていきます。初期の塗装状態では、黒皮鉄の持つ豊かな表情に対してどこか無機質な印象が拭えませんでした。そこで、仕上げにわずかな「当たり(エイジング)」を施すことで、黒皮鉄のフレームと相乗効果を生むように微調整を重ねていきました。
こうして完成した自作モールディングは、かつてのコーキング処理とは一線を画す、立体的なアプローチを叶えてくれました。エッジの効いたシャープなラインが描かれながらも、ガラス・MDF・黒皮鉄という異素材同士が見事に調和する、自然な佇まいです。
プロダクトを使い込む中で僅かに感じていたあの小さな違和感は完全にクリアされ、1段階上の納得の仕上がりにブラッシュアップされました。
この手応えを経て、今回制作分よりこちらの極小モールディングを「Face Mirror」の基本仕様(標準仕様)とさせていただきます。
※膨大な手間が追加される工程となりますが、ひとまず価格は据え置きとさせていただきます。
僕にとっての「ものづくり」とは、こうした日常の小さな気づきや違和感を放置せず、とことん納得できるまで掘り下げていくこと。その積み上げこそが、プロダクトを、そして自分自身のクラフトマンシップを磨いていくのだとあらためて実感しています。
※なお、今回ご紹介した仕様変更は僕自身の追求によるものですが、カスタムオーダーにおいてはクライアント様のイメージやご要望を優先して対応させていただいております。様々なご要望に柔軟に対応しておりますので、どうぞお気軽にご希望をお伝えください。
フェスミラーの詳細やお問い合わせ、カスタムオーダーに関する詳細は下記よりご連絡ください。
【フェイスミラーの詳細・お問い合わせはこちら】
[ Custom Order ] Face Mirror 詳細ページ
【フェイスミラーの展示会での使用イメージはこちら】
[ BLOG ] 重厚な黒皮鉄のフェイスミラー | 展示会での使用イメージ・Face Mirror [ FM01SW ]